【便秘】は“腹黒い”!? 怒りの感情はおなかのツボで鎮める

前回までお話しした内容を整理しますと、心とからだは密接につながっていて、その連絡経路が「経絡」であるとお話ししました。

 

経絡(けいらく)というのは、からだの表面と内臓をつないでいて、全身に張り巡らされているネットワークです。だいたい五臓六腑の系統にそれぞれ分かれています。そして私たちの精神活動である喜びや悲しみ、怒りや恐れなども、この五臓に属しているために、経絡を伝わって全身に影響が広がっていくのです。

 

そして経絡上にあるツボには、からだや心の不調のサインがでます。痛みやコリ、肌色など自律神経症状がサインです。そのツボに鍼灸や指圧など刺激を入れてあげることで心身のバランスを回復させることができるというお話でした。

 

このようなことは学ばなくとも昔から日本人は敏感に感じ取っていたようですね。

 

それは日本語に“からだ言葉”が多いことからもうかがえます。

まず“からだ言葉”って知ってますか?

からだ言葉というのは、たとえば「家計簿をみて頭を抱える」とか「責任が重く肩にのしかかる」など感情を身体であらわす言葉のことです。

 

ちなみに“頭を抱える”のは、悩み、困り果てるときに使いますし、責任がかかるときに“肩にかかる”を使いますよね。

 

そんな、からだ言葉には“怒り”を表す表現に“はら”を使う言葉がたくさんあるんです。

たとえば“腹が立つ”“はらわたが煮えくり返る”“腹の虫が収まらない”“腹に据えかねる”など怒りやイライラを表すからだ言葉にお腹のつく言葉が多いです。

 

ということは裏をかえすと、あなたのからだの不調は、本当はあなたの心の中の感情が関係しているかもしれないということになりますね。

 

腹痛や便秘などの原因は食べ物だけでなく、あなたの心の中に溜まった消化できない感情が詰まっているのかもしれないですね。

 

その証拠に、からだ言葉に“腹黒い”腹を隠す“”裏腹“”腹に一物もっている“などとありますもんね。

 

そういった、“腹具合”をみて、体調を見極める方法に“腹診”というものが東洋医学にはあります。おなかの硬さや音を診て症状を見極める方法です。

腹診は中医学ではあまり用いられていません。江戸時代に発展した、日本独自の漢方的診断方法です。

 

この腹診を広めたのは江戸時代、日本漢方の基礎を築いたといわれる吉益東洞という一人の漢方医でした。

 

その東洞の治療方針は 「目に見えるもの、手でつかめるもの以外は信じない」という実証主義に基づいたものだったということです。

 

東洞は「腹診によって確かめる」ということを提唱しました。それは、脈を診る脈診に比べるとお腹が冷たい、硬いなど、あまり医療技術も進んでいなかった時代、誰でもわかりやすい、しかも実践的な方法として広まったんですね。

 

詳しくはまたの機会になりますが、その腹診で診た症状のなかに腹裏拘急(ふくりこうきゅう)というものがあります。

 

それはどんな症状かというと、急にお腹が差し込んで腹直筋がカチカチなっている症状です。これはイライラ、ストレスが溜まって胃腸の動きを妨げている見立てとなるのです。

 

このように怒りの感情とお腹は関係が深い、ということがわかっていただいたでしょうか? 次はお腹のツボで怒りやイライラの感情を鎮める実践法