足のつり・筋痙攣と鍼灸治療


脚の痙攣や「足がつる」といった症状に、鍼治療が効果的だと

実感したエピソードがあります。


ちょっと古い話になります。第4回東京女子国際マラソンでの出来事です。そのころは、「がんばれ!日本」オリンピックなどの国際競技が行われると、みんなでテレビの前にかじりついて日本選手を応援していた時代です。
今じゃあ、サッカーの日本戦をテレビ観戦していても、娘のお気に入りのドラマが始まると変えられてしまう。あああ~いい時代だった!ちょっと「綾小路 きみまろ」みたいになってしまいました
 それはいいとして、当時、女子のマラソンがブームになりはじめた頃でしたから、テレビで観戦した方も多かったでしょう。
主人公は、旧ソビエト連のエレーナ・ツフロ選手、彼女は40キロあたりまで2位で、1位のゾーヤ・イワノワ選手の後を走っていました。ツフロ選手の脚に変調が現れてきます。苦しげに足を引きずるようになっていました。
そして筋肉か健に異常をきたしたのでしょう。
41キロ地点で突然止まり・・・おもむろに胸に着けていたナンバーカードの安全ピンを引き抜くや、自分の太ももに突き刺したのです。

そしてツフロ選手は、太腿がけいれんするも、ナンバーカードの安全ピンで太腿を刺して走り続け、2位になった。
一体何がおこったんだ??
みな驚いたのですが、これは旧ソ連では有名な、けいれんの処置法だったのだそうです。
当時はまだ旧ソ連がスポーツ大国として、その厳然たる力を誇っていた時代でもある。彼女たちには国際大会で棄権することは同時に、生活を捨てることを意味した。
彼女はレース中、足が痙攣しても、あきらめなかった。どんなことをしても、あと1キロ走り続けなければなかったのだと思う。
完全に脚が回復しなくても、とりあえず完走できればよかったのだ。
ツボや鍼治療を知らない方達は、さぞやビックリしたことでしょう。
なにしろ痙攣し、痛む足にピンを刺したうえ、完走してしまったのだから・・・ツフロ選手が、レース中脚が痙攣してしまった場合の対処法として「ツボ・鍼治療」の知識を持っていたのは確かだと思います。
しかし知識を持っていても、自分で脚に安全ピンをさせる人はそういません。テレビを観ていた私は、その当時、まだ子供で何の鍼灸やツボに対する知識もありませんでした。それでも、ツフロ選手の勝負に賭ける執念を強く感じたシーンでした。