高齢化に伴い膝のトラブルで悩んでいる方が増えてきています。
年齢とともに、みな度合いはそれぞれ違うものの骨密度が低下し
体重のかかる関節(これを荷重関節といいます)にストレスがかかり、骨がつぶれてきたり
関節のすき間にある軟骨がすり減り、すき間が狭くなるといった現象が起きてきます。
この現象がひざのトラブルの原因となり、変形性膝関節症といいます。
変形性膝関節症には、その度合いによって、グレード0から 5までの段階があります。
数が大きくなるほど変形の度合いがひどくなります。
そしてグレード5の段階になると人工膝関節の手術を考慮することも致し方ないことと考えられます。
しかしグレード3から4段階で手術を考える方は、鍼灸治療を試されてみてはいかがでしょうか?
鍼灸治療による膝への効果は主に三つあります。
第一は痛みの緩和です。
ひざ関節の裂隙部(隙間の部分、関節包や半月板)に刺激を加えることで
炎症を沈静化し痛みを和らげる効果が期待できます。
二つ目は膝関節周囲の筋肉をゆるめる効果です。
膝に重要な筋肉といえば大腿四頭筋、ハムストリングス、前脛骨筋、下腿三頭筋などがあります。
その筋肉がこわばっていると、膝はスムーズに動きません。
これらの筋肉のつぼに刺激を加えることで筋肉をゆるめ、ひざ関節の可動域を広げる効果が期待できます。
第三に、足の冷え、むくみといった循環障害を改善することです。
トラブルのある側の ひざ下に、足の冷え、むくみといった循環障害 が起きやすいです。
鍼灸治療の刺激により、毛細血管を広げて、血液の循環を促しリンパの流れをよくします。
それでは具体的に、どのような治療方針で治療を進めるかというと、
3つのステップを踏んで治療を進めます。
STEP 1 鍼灸治療中心でマッサージを加え疼痛緩和、循環障害を改善していきます。
STEP 2 鍼灸治療、マッサージにストレッチを加え筋肉をゆるめ、関節の可動域を広めます。
STEP 3 軽い抵抗運動を加えて膝周囲の筋力を強化するプログラムを追加します。
これらの治療を 3カ月から6カ月間、週1~2回のペースで行っても効果が芳しく出ない患者さんもいます。
その場合、今後の患者さんの生活に最善なことを、相談し手術をお勧めすることもあります。
鍼灸治療は「いたくて、あつい」というイメージがあるかもしれません。
でも実際は、ハリにしろ、おきゅうにしろ独特の感覚があるものの、「いた気持ちいい」範囲の刺激です。
体にメスを入れたり、手術後のリハビリを考えればどちらが痛みが大きいかは明白です。
一度、はりきゅう治療を試されることをお勧めします。